拒否する気のない日本

oiroke2006-03-03

NHKって道州制に賛成なんだ…。
二日の「あすを読む」という番組の中で、影山日出夫という解説委員が道州制の礼賛を行った。
地方自治」をなしとげるためには、道州制が必要不可欠なんだと。
道州制」ってのは、一個一個の県ではなく「東北」や「中部」というように、行政単位をブロック化して捉えることを言う。
国は「軍事」と「外交」だけ行って、それ以外の「教育」やら「福祉」は地方が自分でやるべきだという言うのである。
要するに、「小さな政府」ですな。
そうすれば、地方が独自に街づくりを行えるし、財政赤字も解消する、っていうんだが…。
 
そもそも「州」って何?
中部とか東北なんていったって、そんなもの便宜上の分類に過ぎないでしょ。
それを恰も、実態をもった文化圏であるかのように見なすのは実に不思議。
秋田と青森がくっついたからといって、一体何のメリットがあるというのだろう?
だいいち、福祉や教育を国から切り離して地方が独自に行うことに、いったいどれほどの意味があるのだ?
「独自の教育行政」?
「独自の福祉事業」?
なにそれ?
そんなものまで、なんで「個性化」しなくちゃいけないのよ?
 
まあ、そんなことは政府にとって大した問題ではないのだろう。
彼らにとって興味のあるのは、「小さな政府」――これだけだ。
「小さな政府」さえ達成すれば、財政赤字も効率的な行政も、総ていっぺんに成し遂げることが出来るっていうんだから、何ともお気楽なものである。
そうすれば、アメリカみたいに効率的で合理的な行政府が出来上がる…
って、そんなわけねーじゃん!
 
だいいち、今のアメリカってブッシュの失政のおかげで財政赤字は膨らむばかり。
それでいながら、イラクで戦争起こしたり、教育予算を減らして学校をスラムにしてるのだ。
こんなのが、望ましい社会なわけ?
それもこれも、連中の政策が「小さな政府」だからだよ!
そもそも、政府の「小さい」っていうのは、ただその守備範囲が「大きな政府」と比べて小さいってだけのことである。そこには「効率性」も関係なければ、「無駄づかいを減らす」という意味も無い。単なる、間口の狭さがあるだけだ。
これを家庭でたとえるなら、夫の給料が減ったので、奥さんは夕食のメニューの品数を減らすことにした。「まず、サラダを減らして、味噌汁を減らして…」
それで最後に残したのが、なぜかステーキ!
しかもごく厚。
それ以外の食事から栄養をとれないから、ステーキの厚さだけは日に日にものスゴイことになっていく…
ってのが、現在のアメリカが行っていることだし、これからの日本が進む道だ。
 
そんなのがどうして望ましいことなわけ?
最近の牛肉の輸入問題でアメリカ政府がとった態度がはっきりと「小さな政府」というものの実態を表している。
 
狂牛病で消費者が病気になるかも…だって? そんなこと俺たちの知ったことか!?」
 
国は、軍事と外交以外について、何の責任も負うつもりがない。
ただ、それだけのことです。
 
関岡英之「拒否できない日本 アメリカの日本改造が進んでいる」(文春新書)
突っ込みは足りないけど、日本のアメリカ化を考えるには大変参考になるいい本です。